年下御曹司は初恋の君を離さない
「未来、ちゃんと聞いていたか?」
「え?」
「じいさんは気に入った人にしか作らない。未来はじいさんのお気に入りだってことだ」
「あ……」
「心して食ってやってくれ」
「わかりました」
黒文字で小さく切ったあと、ゆっくりと口に運ぶ。
舌触りは滑らかで、口にほろほろとほどけていく。甘く蕩けそうな感覚は、幸せ度を上げていく。さすがは老舗和菓子店せせらぎの大将だ。
「美味しい……っ!」
素直に零れ落ちた言葉を聞いた藤司さんは、嬉しそうに私の目の前に茶碗を置いた。
「じいさんに言ってやってくれ。喜ぶ」
「はい。あ、お茶いただきます」
「どうぞ……それより未来。足をくずせ」
「へ?」
何を言い出したのかと目を丸くしていると、藤司さんはもう一度キツイ口調で言ってきた。