年下御曹司は初恋の君を離さない
「またおいで、未来ちゃん。っていうか、泊まっていけばいいのに」
「は……?」
大将の言葉に唖然としていると、今度は横から女将さんが口を挟んできた。
「そうよ~、さっさと今のお仕事辞めて、うちで花嫁修業しない? 女将さん業継いでほしいわぁ」
「えっと……え?」
「未来ちゃん、謙也のお嫁さんにならない? 貴女なら、皆大歓迎よ!」
従業員の皆さんと大盛り上がりしているのを唖然と見つめていると、藤司さんが止めに入ってくれた。
「はいはい、未来は今から帰るから」
シレッとした態度で私の腕を掴んで店を出て行こうとする藤司さんに、皆が皆大ブーイングだ。
「専務の甲斐性なし~!」
「早いところ捕まえないと、他の男に捕られるわよ~」
あれこれと言っている皆をシャットアウトするように、引き戸をピシャリと閉めた。
店の外に出て、ようやく静寂さを感じてホッと胸を撫で下ろす。