年下御曹司は初恋の君を離さない

 一番腹が立ったのは、路上で抱きしめ合っている二人。そして、デコチューをしている藤司の写真だ。

 ビリビリに破いて捨ててやろうかと思ったが、それでは相手の思うツボになってしまう。
 グッと堪えて破かなかったことを、誰か褒めてほしい。

 畳の上に並べた写真を見て、藤司は目を細める。だが、驚きはないようだ。
 彼の様子を見て、俺の予想通りだったと小さく息を吐いた。

「藤司さん、わざと撮らせましたね?」
「さぁ? ……ああ、この写真はキレイに撮れている。未来がとても可愛い」

 藤司は挑発的な態度をし、俺を煽ってきた。
 怒った方が負けだ。冷静に対処できる男が、最後に幸運を掴み取れるはずだ。

 大人の魅力溢れる藤司を前に思うことはたくさんある。
 未来さんが大学四年の時のことを知る人物がいて、その人の話を聞いて藤司の気持ちが痛いほど伝わってきた。

 藤司は、ただ未来さんを畠山から守りたかった。だからこそ、嘘をつくことを選択したのだ。
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