年下御曹司は初恋の君を離さない

 その嘘のせいで未来さんは男性不信に拍車をかけることになった訳だが、俺からしたら言い方は悪いかもしれないがラッキーだったのだと思う。
 そのことがトラウマになり、未来さんはその後誰とも付き合うことはなかったのだから。

 もし、畠山が藤司に想いを寄せていなかったら……今頃、未来さんは藤司の側でほほ笑んでいたのかもしれない。
 運命は時にドラマチックで、残酷である。どの立場になるかは、その人の時の運次第だ。

 運をたぐり寄せるのは、自分でありたい。そう強く願っていると、藤司は挑発的な態度を改めることもせず、静かな口調で言った。

「未来と俺のこと、そして畠山のこと。色々と調べた上でここにやってきたんだろう?」
「ええ。藤司さんの言う通りですよ。そうでなければ、貴方と対峙することはできない」

 目の前に座る藤司を見つめると、彼は視線を落とした。

「それなら話が早い。以前は未来を守ってやれなかったが、今回は俺が守る。安心しろ」

 静かに、だが決意に満ちた声色で藤司は言い切る。
 彼の表情からは過去の後悔と、そして二度と未来さんを傷つけないという覚悟が滲み出ていた。
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