年下御曹司は初恋の君を離さない
藤司の真摯な気持ちに圧倒されたが、俺は負けるわけにはいかない。
高校生の時に出会ってから八年。俺は未来さんのことを片時も忘れられなかった。
紀彦に言わせれば『執着心が強すぎて怖い』と顔を歪められるが、俺はそうとは思っていない。
ただ、未来さんが好き。それだけのことだ。
アメリカにも行ったし、学生の頃も社会人になってからも色々な人に出会った。
だが、未来さん以上に好きになる女性はただ一人としていなかった。それがすべての答えだと思っている。
俺の人生に、未来さんがいないなんて考えられない。それだけのことだ。
藤司が来る前にせせらぎの女将さんが出してくれたお茶に手を伸ばし、それに口をつける。
湯飲みを茶卓に置いたあと、おもむろに藤司に向かってほほ笑む。
「必要ありません。藤司さんのお手を煩わせるようなマネはいたしませんから」
これ以上は未来さんの近くにはいさせない。そんな気持ちを込めて視線を強めたが、藤司は真っ向勝負を挑むつもりらしい。
鋭く尖らせた視線を俺に向けてきたので、小さく息を吐き出す。