年下御曹司は初恋の君を離さない

 
 せせらぎに行った足で空港に向かい、俺はそのまま九州に行くことになった。

 小華和堂では春限定チョコレートの開発を進めているのだが、今回の商品のウリであるイチゴペーストをお願いしている農家に挨拶をしに行くのが目的だ。

 早朝には動き出してビニールハウスにいると連絡を受けたので、今夜中に九州に入る必要があった。
 夜遅くに福岡に到着し、翌日は早朝から契約農家さんの畑に出向いて挨拶をし、加工工場へ顔を見せて……一日フルに動き回り、ようやく岐路についた。

 飛行機の座席に腰を下ろしてひと心地ついた俺に、一人の女性が声をかけてくる。
 未来さんの敵でもあり、俺の敵でもある畠山みのりだ。

「こんばんは、小華和さん」
「……こんばんは、畠山さん」

 思わず舌打ちしたくなる。ビジネスクラスが取れずにエコノミーにしたことを恨んだ。
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