年下御曹司は初恋の君を離さない

「ねぇ、友紀ちゃん。今日もうちに泊まるの?」

 我が家につき、玄関先で「ただいま~」とすでに我が家のように振る舞う友紀ちゃんに、頬を引き攣らせたまま聞く。
 すると、彼は一瞬目を丸くさせたあと、ニッコリとほほ笑んだ。

「もちろん。今日も明日も久保家にご厄介になりますよ?」
「……」
「貴女が何を言おうと、俺は久保家に泊まるし、未来さんの送り迎えは絶対に俺がする。反論しても無駄。諦めてくださいね」

 私が制止する間もなく、友紀ちゃんはスタスタと廊下を歩いて行ってしまう。
 今日もやはり彼を説得できなかったと、ため息を付きながらハイヒールを脱いだ。

 リビングの方から、お母さんと友紀ちゃんが和気藹々と話している声が聞こえる。
 私は鞄から携帯を取り出し、着信やメールが来ていないかチェックしてみた。だが、特に誰からも連絡はない。

 友紀ちゃんに〝和菓子店せせらぎ〟に行っていたことを咎められた日から、藤司さんからの連絡は皆無だ。
 こちらから連絡をしたいところではあるのだが、友紀ちゃんに止められているのである。
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