年下御曹司は初恋の君を離さない

 やはり、友紀ちゃんが藤司さんに直接話をつけてしまったということなのだろう。
 私に伝えてくる表向きは、あくまで商品開発の仕事は担当に移行したので関わらなくて大丈夫と言ってる。

 だが、恐らく友紀ちゃんは藤司さんから聞いているはずだ。
 どうして藤司さんに連絡を受け、私が単独で〝和菓子店せせらぎ〟に行っていたのか。
 私と藤司さん、そして畠山さんとの過去のこともすべて……

 そして、私が畠山さんに狙わる可能性が高いということも、友紀ちゃんの側にいれば、ますますその危険度は高くなるということも伝わっているはずだ。
 だからこそ、こうして友紀ちゃんは私の送り迎えをし、尚且つ我が家に泊まっているのだろう。

 藤司さんが私を守ってくれていたように、友紀ちゃんもまた私のことを……

 友紀ちゃんは絶対にそのことには触れてこない。
 あくまでビジネス上で私から今回の仕事は離れたと頑なに言い張っている。そこが友紀ちゃんの優しさなのだろう。

 申し訳ないと思いながらも、少しだけ嬉しいと思っている自分がいることに苦笑してしまう。
 友紀ちゃんを意識すればするほど、彼のことが気になって仕方がなくなる。
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