年下御曹司は初恋の君を離さない

 ホテルロビーには一般客に紛れ、我が社のプレスリリースに参加するであろう人々が行き交っている。
 その様子を横目に見ながら歩みを早めたのだが、ある人物を見て身体が固まり私の心臓は打ち抜かれるような衝撃に苛まれた。

 視線の先には、上品な訪問着を身に纏った女性が、ゆったりとほほ笑んでいるのが見える。畠山さんだ。

 なぜ、彼女がこの場にいるのだろうか。ただホテルを利用しているだけで、偶然居合わせたのか、それとも小華和堂のプレスリリースに招かれたのか。
 一通り出席者名簿には目を通しておいたのだが、彼女の名前は書かれていなかった。

 ホテルを利用する一般客としているのだろう。そう胸を撫で下ろしたのだが、彼女は迷わず大ホール前にある受付に足を向けている。
 驚いて目を見開き、彼女の動向に意識を向けた。

 畠山さんは受付をしている総務の人間に朗らかにほほ笑んだあと、彼女の両親らしき年配のご夫婦と共にホールへと入っていく。
 彼女の姿が見えなくなったあと、私は慌てて受付をしている女性に聞いた。
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