年下御曹司は初恋の君を離さない

「ありがとう、未来さん」
「ふ、副社長!?」
「あ、もう優秀な秘書に戻っちゃった? でも、俺はどちらの未来さんも大好きだ」

 ギュッともう一度抱きしめられていると、畠山さんはますます金切り声を出した。

「私に恥をかかせて!! 小華和さん、貴方どういうつもり?」

 彼女の両親が娘の醜聞を見て我慢ならない様子で止めに入ったのだが、彼女はそれを振り切って目をつり上げている。

『私が、小華和さんに食いつく虫を除去してやったのよ』と言って、いかにも自分が正しいと主張するに違いない。
 これだけ聴衆がある中、ある意味肝が据わった女性だ。きっと、あとで権力と財力を使ってもみ消そうと考えているのだろう。

 なんとも勝手な言い分に呆れかえってしまう。彼女自身が事を荒立てたのに、そのことはすっかり頭から抜け落ちてしまったらしい。
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