年下御曹司は初恋の君を離さない
ようやく落ち着いた場に、友紀ちゃんの暢気な声が響く。
『では、そういうことで。今日のプレスリリースにおいでいただき誠にありがとうございました。新商品の素敵な記事を楽しみにしております』
それだけマスコミ関係者に伝えると、マイクを秘書部部長に手渡す。
そして、友紀ちゃんは当然のように私の肩を抱いてホールを後にする。
騒然としているホールを背に、私はただ友紀ちゃんに為されるがままだ。
あまりに衝撃的な出来事が重なり、私の思考回路はストップしてしまっていた。
そのままエレベーターに乗せられ、気づいたときにはホテルの客室に連れ込まれていた。
ドアが静かに閉まり、カチャンと音がする。静寂な空気を裂くように、友紀ちゃんは私を抱きしめてくる。
「やっと静かになったね、未来さん」
「へ?」
「このあとのスケジュール、完全に空けておいてくれるなんて。さすがは敏腕秘書。仕事は完璧だね。そのおかげで、こうして未来さんを独り占めできる」
「っ!」
息を呑む私に、友紀ちゃんはクスクスと笑い声を零す。