年下御曹司は初恋の君を離さない
副社長が本社へ来る日も知らないが、もっと重要なことを把握できていないのだ。
彼が副社長のポストを引き受ける以前どのような仕事をしていたのか、というかなり重要なことを全く聞いてはいない。
これは由々しき事態だと思う。私たち秘書部がサポートするにしても、副社長がどんなことを知りたいのかわからなければ、サポートをすることもできない。
全然畑違いな仕事をしていた人であったら、それこそ最初から色々な説明をしなくてはならないからだ。
その説明に使う書類だって早急に用意しておきたい。
とにかく時間がないことは間違いないはずなのに、どうして何も教えてはくれないのだろうか。
智子ちゃんの従兄弟ということで、彼女なら色々と友紀さんのことを知っているだろうと思って聞いたのだが、返ってきた答えは期待していたものとは違うものだった。
『彼とはもう何年も会っていないんですよぉ。最後に会ったのはいつだったかな? って思い出せないほど前のことで。彼の経歴ですか? それが謎なんですよ。親に聞いても教えてくれないし……ただ、メールだけはしてますよ。というか、私から一方的にですけど』
という、理解不能な返答だった。
なんでも一歩的にメールを送っている内容は、どうやら私に関係するものばかりらしい。