年下御曹司は初恋の君を離さない


『そりゃもう! 身近にこんなに素敵な女性がいるんですよ! 自慢しないわけないじゃないですか!!』

 と鼻息荒く言われてしまったら、何も言い返せなかった。

 私としては、力なく笑うだけしかできない。
 だって、智子ちゃんはいつも通り。これが正常運転だ。

 それにしても、親戚にも彼の居場所を明かさないなんて……何か問題があるのだろうかと疑ってしまう。
 そこで、前副社長である隆二さんの言葉を思い出した。

(そういえば、策士で一筋縄ではいかない人物だって言っていたかも)

 私が副社長専属秘書を引き受けると言ったとき、隆二さんは心底安心していた。
私が引き受けてくれなかったら、引き取り手がいないなんてことも言っていたはずだ。

 謎が謎を呼ぶ。
 小華和友紀さんという人物は、ミステリアスな人だ。

 未だにはっきりしない秘書部長を睨み付けながら、疑問をぶつけていく。

「あと、小華和友紀さんに関しての情報が少なすぎます」
「と、言うと?」
「社長のご子息で、小華和友紀さんというお名前。そのこと以外、何も知りません」
「あ、ああ……」

 秘書部長の視線が宙を彷徨う。これは明らかに何かを隠している様子だ。
 ここは一つ、強く追求していくしかないだろう。

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