年下御曹司は初恋の君を離さない


 この件に関しては、専属秘書が決まっている私だけではなく、秘書部の皆も困り果てているのだ。

 彼と直接関わるのは私ではあるが、どんな人物なのか。どのような形で仕事をしていくのか。
 他の重役付の秘書だって、ある程度は知っておかなければならない情報でもある。

 それに、専属秘書ではない後輩たちにしてみても、仕事のやり方などを把握しておく必要はあるのだ。
 それなのに、何も情報が秘書部に降りてこない。

 これには秘書部の皆、困っているところでもある。
 他の重役付の秘書たちも、自分が付いている重役たちにそれとなく副社長のプロフィールなどを聞きだしているのだが……なぜか誰も口を割りたがらない。

 社長秘書をしている清見課長がそれとなく社長に聞いてくれてもいるのだが……笑ってごまかされるだけで、何も教えてもくれないと言う。

 そこまで箝口令を引く必要があるのだろうか。
 社長まで口を閉ざす理由とは一体……?

 未だに黙ったまま視線を泳がせている秘書部長に、ニッコリとほほ笑みかける。
 もちろん、目は笑っていないことだろう。

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