年下御曹司は初恋の君を離さない
事の始まりは、八年前。
私が大学二回生のときだった。
「おい、その汚い手を放せよ」
私は中年オヤジの手首を掴み上げて睨みつけた。
手首を掴まれたその男は一瞬呆けていたが、ハッと我に返ると言いがかりをつけてくる。
「なんだ、君は! 突然失礼じゃないか」
「失礼?」
自分でもビックリするほど低い声が出た。
腸が煮えくりかえっている今、そんなことはどうでもいい。
グッと力を込めて、その男の腕をねじり上げた。
「その子が声を上げないことをいいことに、お尻を触っていただろう?」
「い、言いがかりだ!」
「言いがかり?」
「そ、そうだ!! 証拠もないくせに。俺がやっていたという証拠でもあるのか?」
「……」
「ほらみろ! 証拠がないのに人を痴漢扱いするとはどういうことだ。えん罪だ! 俺がお前を訴えてやる」
鼻息を荒くして訴えてくる男に、私は盛大にため息をつく。そして、ねじり上げていた手をより強く捻り上げた。