年下御曹司は初恋の君を離さない


「この前、俺は言ったはずですけど? 俺のことは名前で呼んでほしいって」
「……」
「友紀ちゃんって呼んでほしい。それが無理なら友紀さんで」
「おっしゃっている意味がわかりません。副社長は副社長ですよね?」

 有無を言わせない笑顔でスルーをしようとしたのだが、それを許してくれる友紀ちゃんではない。

 彼は急に立ち上がり、私の目の前で立ち止まる。そして、私の顔を見下ろしてきた。
 その視線に、思わず身体中が熱くなっていくのがわかる。
 逃げたくなって後ずさりするのだが、それを許さないとすぐに彼は私に近づく。

「未来さん」

 今度は友紀ちゃんの方が有無を言わさぬ様子で私の名前を呼んだ。彼が言いたい事はわかっている。しかし、それにめげていては彼の専属秘書なんて務まらない。
 ニッコリとほほ笑んで友紀ちゃんの言葉を制止させた。

「では、業務に移りますので。何かございましたらお呼びください」

 一礼し、私は副社長室を出ようとする。扉の向こうに専属秘書室があるので、とりあえずそこに逃げてしまおう。


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