年下御曹司は初恋の君を離さない
「ねぇ、未来さん」
「は、はい……」
かろうじて返事をする私の耳元で彼は囁く。より彼が私に近づいたことに、身体が震えてしまった。
どうかお願い。動揺していることを友紀ちゃんに悟られませんように。
心の中で強く願っていると、彼は小さく笑う。
「俺は言いましたよね?」
「……っ」
「俺のことは、名前で呼んでって」
甘く低い声だった。あの頃―――彼が高校生のとき―――とは見違えるほど大人で、間違いなく男性の声である。
女の子だと認識していたのに、今では彼を大人な男だと認めざるをえなくなった。それほど、セクシーな声をしている。
そんな声でお願いされたら、思わず頷きたくなってしまう。実際、私は頷こうとしていた。
だが、ハッと我に返った私は、慌てて首を横に振る。もちろん、振り返ることなどできない。