年下御曹司は初恋の君を離さない
ドアノブを持ったまま、友紀ちゃんに背後から抱きしめられた形で口を開く。
「いえ、それは無理です」
「どうして?」
「どうしてって……」
理由なんて言わなくてもわかっているくせに、そんなふうに聞き返してくるなんて。友紀ちゃんは意地悪だ。
少しでも彼から離れたくてドアに近づくのだが、より彼も近づいてくる。
扉と彼。両方に挟まれてしまい、ますます逃げ場を失ってしまう。
ドキドキしすぎている心臓は、背中越しの彼にも伝わってしまっているだろう。そう思うと、ますます胸の鼓動は速まってしまう。
このままでは本当にマズイ。どうなってしまうのかわからない。
相手は、私が知っている女子高校生だった友紀ちゃんではない。大人になり男性の色気も感じる友紀ちゃんだ。
ただ、一緒だと感じるのは、私に向ける視線の熱さ。女子高校生だと思っていたときの友紀ちゃんからの視線を、私に対する憧れみたいなものだと思っていた。
だけど、この前友紀ちゃんからのこれまでの経緯と気持ちを聞き、それは誤りだと知った。