年下御曹司は初恋の君を離さない
あの頃も今も……友紀ちゃんは私を好きでいてくれている。
勘違いではないと思えるほど情熱的な眼差しで私を見つめる友紀ちゃん。その熱い視線に、私の心はずっと戸惑ってばかりだ。
私の手を握っていた友紀ちゃんが、キュッと力を込めた。再び胸が高鳴ったが、時間は有限。これから副社長である友紀ちゃんは多忙を極めている。こんなことをしている場合ではない。
秘書モードに切り替え、私は彼を振り返った。
戸惑って固まっていたのに、急に秘書の顔をしたので驚いたのだろう。
友紀ちゃんは一歩後ずさり、目を丸くして驚いている。
そんな彼を見上げたあと、視線を強めた。
「業務上、貴方のお名前で呼ぶのは差し支えがあります。私を秘書失格だと周りに言うことと同じですよ」
「……」
「わかっていますか? 副社長」
キツい口調で友紀ちゃんに物申すと、彼はフフッと嬉しそうに笑ったのだ。
私は注意しているのにもかかわらず、どうしてここで笑うのだろう。
ムッとして彼を睨み付けると、手を上げて降参のポーズを取った。