年下御曹司は初恋の君を離さない


「ごめん、未来さん。ちょっと完璧秘書の顔を崩してみたくなった」
「は……? なによ、それ」

 思わず素の自分が出てきてしまい、慌てて口を抑える。すると、友紀ちゃんは嬉しそう頬を緩ませた。

「ほら、そういう感じ。俺の知っている未来さんが見たくなっただけ。わかってる、職場で友紀ちゃんなんて呼ぶことなんてできないよね」
「う……」
「わかっているけど、ちょっとね……未来さんとこうしてようやく再会できたのに、最近はずっと秘書の顔しか見せてくれないでしょ? それが悔しかったんだ」
「……」
「ごめんね、未来さん。意地悪して」
「……本当です」

 そんな理由で私を背後から抱きしめてきたというのか。名前で呼べと言ってきたのか!
 悔しくて唇を歪めると、友紀ちゃんが私の顔を覗き込んできた。

「でも、やっと俺の大好きな未来さんに会えた気がする」
「っ!」
「たまには、素の未来さんを見せて? どんな未来さんも可愛いけど、やっぱり普段の未来さんが一番可愛いから」


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