失礼ですが、強い女はお嫌いですか?
リリエラが買い物を楽しんでいるふりをしつつ、商店街の通りを歩いていると、視界の端に金髪の男を見つけた。
すぐさまリリエラは男の後を追う。
買い物の戦利品を持つ人々の間を滑るように抜け、男が立ち止まれば何気なく店先を眺めるふりをして観察をする。
尾行はリリエラにとって得意中の得意だ。最初の頃は怪しまれたり失敗したりと酷い有り様だったが、依頼内容の大半が尾行を必要とするため、自然と技術が向上した。
金髪の男が道行く女性に声をかける。仕草や口の動きから予想するに、男は道を尋ねているようだった。
よく見ると男は金髪だが髪を結えるほどの長髪とは言い難い。
顔の情報が少ないためはっきりと断定はできないが、探し人とは別人かとリリエラが男から視線を外そうとした次の瞬間、リリエラは男の元に駆け寄った。
「あの、これ落としませんでした?」
呼び止めるようにリリエラは金髪男の肩をポンポンと叩く。リリエラの手に握られているのは落ち着いた色合いのハンカチだ。
突然呼び掛けられた男は、驚きを隠さず大きく目を見開き、リリエラとハンカチへ向けた視線を何度も往復した。
「……俺のじゃないけど」
「あら? そうでした? 勘違いだったのね、ごめんなさい」
恥ずかしそうに笑ったリリエラに男は「大丈夫ですよ」と笑い返す。道を尋ねられていた女性も、二人のやり取りを微笑ましげに笑顔で眺めていた。
しかし、そんなほのぼのとした様子が一瞬で変化する。