失礼ですが、強い女はお嫌いですか?

六年前、リリエラ家族は貴族としての地位を失った。
父は領主の仕事の引き継ぎに追われ、母は雇っていた使用人達の次の就職先探しに奔走した。

あの頃のリリエラはただ呆然と目の前の出来事を見ていることしかできなかった。
ずっと一緒だった使用人達が一人、また一人と去っていく姿を、しがみついてくるジョナスを抱きとめながら、ひたすら見送る。

最終的にリリエラ達に残されたのは、大切で手放せない数品と新生活を始めるには少なすぎるお金だけ。

ドレスや装飾品など、お金に変わるものは全てお金に変え、使用人達にできるだけの退職金を払った。
『私達には感謝と謝罪を伝える方法が、それしか残っていない』という両親の言葉をリリエラは今も覚えている。

それほどまでに、リリエラ達は何も持っていなかったのだ。

乗り合いの馬車や野宿、盗賊との遭遇など、初めてのことばかり経験し、身も心も疲れ果て、やっとの想いでたどり着いたのがエデリの町。
そして、一番最初に話しかけてきたのがアイリスだった。
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