翼の折れた鳥たちは
◇◇◇
「敦也っ!!」
もう一度、名前が呼ばれる。
声の先にはもちろん、重光先生とそれから敦也くんの親友の3人。
敦也くんは驚きを隠せないといった表情を浮かべて、その声の方を真っすぐ見つめている。
ふと真顔に戻った敦也くんが、もう一度キャップを深くかぶり直す。
「葵ちゃん、このこと知ってたの?」
感情なんて含まれないような平坦な敦也くんの言葉は、責め立てられているような気分になる。
「ごめんね、敦也くん。ずっと言わなきゃ、って思ってたんだけど。驚かせちゃったね」
まだ会うのは早すぎたのかもしれない。
そんな後悔が沸々と胸の奥から沸き起こってくる。