翼の折れた鳥たちは

「患者に一個人として感情移入しすぎたり、周りが見えなくなってしまうと医療従事者として冷静な判断が出来なくなるのは理解できるかい?」

声のトーンを落とした部長が諭すように私に尋ねたから、私は小さく頷く。

「彼のことを理学療法士として今後も支援するためにも、今回はご両親に任せた方がいいんじゃないか?それに、車いすバスケ見学は夜なんだろ?スタッフが引率して事故でも遭った場合を考えると、リハビリ部の部長としては許可はできない」


部長の言うことだって分かる。
だけど、諦めきれない。

敦也くんの笑顔がさっきから頭に何度も浮かんでくるんだもん。


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