朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「私の両親は日本人ですが、アメリカの生まれ育ちです。日本には十歳のときに来ました。四歳で向こうの大学に入りまして、そのとき留学していた流夜さんとは同じ学部で知り合いました。男だったっていうのは、家の事情でそういう風に育てられたってだけです。心が男子とか、そういうことはないです」
「男いるしな」
「です。ちゃんと彼氏います。あ、流夜兄さんは兄貴扱いしかしてませんので。なんかそういう女子っぽい疑惑はいらん心配なので大丈夫です」
軽い口調で言って、パタパタと手を振る斎月さん。
「………」
……詳しく説明されてもいまいち理解し切れない。
呑み込むために頭を悩ませていると、向かいの斎月さんが流夜くんを見た。
「こういう顔合わせで呼ばれたってことは、咲桜さんは流夜兄さんの将来の相手と見てよろしいのかな?」