朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「その件でこいつは女性恐怖症になるし」


「流夜兄さんは女性に大雑把になるし」


「「ほんと思い出したくない……」」
 

だうーんと項垂れる二人。
 

……こ、この二人はそんな修羅場を乗り越えて来たのか。
 

話を聞いて、総ての話理解出来たわけではないけど――流夜くんが斎月さんを大事にする理由が、なんとなく得心がいって、そしてそれを嫌だと思わなかった。
 

むしろ弟だと言っていたことが、なんだか今は嬉しく思えた。
 

流夜くんは、独りではなかった。


話してくれていなかった理由は……いっそ世界が違う気がしてまだ呑み込み切れていないけど、流夜くんは斎月さんを『弟』だと言うし、斎月さんは流夜くんを『流夜兄さん』とも呼ぶ。


流夜くんの世界は、それほど閉じていないようだ。

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