朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


俺と笑満ちゃんの声が重なる。


笑満ちゃんも初耳のようだ。


「もし力になれることがあったらと思って。……けれど、警察では門前払いを喰っちゃったわ。なんか丸暴みたいな刑事が応対したんだけど、オトの現在の住居を教えることは出来ないって。オトの、防犯のために、ご近所でも無理だって言われたの。それで……諦めてしまって。ごめんなさい」
 

生満子さんが頭を下げた。丸暴みたいな刑事……脳裏に浮かぶ姿があった。


笑満ちゃんも同じようだ。あのひとか。


「いえ。正直……笑満ちゃんと逢っても忘れられてるんじゃないか、とか――もしかしたら忘れてた方がいいんじゃないかって思ってました」


「そんなことないよ!」


「そんなわけないじゃない!」
 

笑満ちゃんと生満子さんが同時に否定した。

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