朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「ごめんなさい!」
「なにが?」
半泣きで謝ると、流夜くんは私の突然行動にはもう慣れたようで、苦笑した。
「取りあえず入ろう。食べていんだろ?」
「その前に毒味します!」
「……そうか」
流夜くん、平坦な瞳で、もうツッコミもしなかった。
扉までの短い距離なのに、流夜くんはまた差し出し、私はその手を取った。
本当に何だかさっきから紳士的というかさらっとカッコいいことするからなんなんだろう困る。
流夜くんの部屋は、相変わらず学の香りがする。いろんな知識がそこここに飛んでいそうだ。
鍵が落ちる音。流夜くんの部屋の、ローソファ。並んで座るのがすきだった。