ひだまり
「キレイです。
夜景なんて、見に行ったことがないから……
もっとキレイな所があるのかどうか分からないですけど……
今の私には……初めてで……一番キレイな景色です。」

彼女の言葉は……いつも素直で温かい。

オレの一番嬉しい言葉を……伝えてくれる。

「ありがとう。そう言ってもらえると……嬉しいよ。」

オレにとってここが居場所だったように……

彼女にも………彼女なりの居場所を作って欲しい。

そして、もしも……許されるなら

その居場所がオレと重なっていて欲しい。

今日は、そのための一歩………。



「先生、さっき……クッキーの変わりに
先生が淋しくない時間をあげるって………言ったでしょう?
あれね。………今日のドライブのことじゃないんだ。
これからの時間………全部って………ことで………。」

これからの時間………

ずうっと一緒にいて、守りたいって………伝えたはずだったけど………。

オレに好かれてるのを、知らない彼女には……伝わらなかった。

「先生……………唯ちゃん。
オレと、付き合って………くれませんか?
これからは、淋しくないように……二人で過ごそう。」

今度はさすがに、伝わったみたいで……挙動不審だ。

びっくりしている彼女に……

遠くで見守ろうと思ったこと。

でも、見守るだけでは……辛そうなままだから

助けたいって思って、電話やメールをしたこと。

今は、もっと近くで支えたいって思うから………告白したことを話した。

「1つ聞いても良いですか?」

彼女の質問は……

『先生は……唯のこと…………好き?』

今更な質問に戸惑ったものの、これが………彼女なのだ。

自信がなくて、愛されてることにうとくて………

そんな彼女だから………守りたいんだよなぁ。

『………どうして?』と呟く彼女に……

貴女だから………としか言いようがない。

そんな彼女だから……好きになった。

まだまだ幼い彼女には……付き合うって言葉は…重かったみたいで

結局、また泣かしてしまった。

でも、彼氏の立場にならないと………守り、支えることは無理だ。

強引でも……今は納得させて………『彼女になって』もらった。

いつか………

二人で居ることが自然な………彼氏彼女になることを………夢見ながら。
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