誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
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キッチンで顔を洗って、小春はコップに一杯水を入れて、ゆっくりと飲む。
(明日から……っていうか、今日からどうしよう……)
小春は手の甲で目の縁に残る涙をぬぐい、深くため息をついた。
さすがにこんなことになって、この部屋に住めるとは思っていない。
だが黙って消えるのはもっと悪い。きちんと閑に謝り、それから、世話になったお礼を言って、心配させないようにしてから出て行かなければならない。
そうでなければ、閑はまた小春のために、あれやこれやと無駄な仕事を増やしてしまうだろう。
(だけどどうしたらいいの……?)
泣きすぎたせいか、完全に思考回路が止まりかけている。
出てくるのは溜息ばかりだ。
「はぁ……」
そうやって、キッチンのカウンターの前で、立ち尽くしていると、テーブルの上に置きっぱなしだったスマホが、ブルブルとメッセージの着信を知らせていた。
「誰だろ……キミちゃんかな」
時間はすでに深夜の二時をまわっている。
おぼつかない足取りで、ふらふらしながらテーブルの上のスマホを手に取ると、
【いつでもいいから電話で話せないか?】
と、メッセージが入っていた。