誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「――とりあえず、もう少しこっちにいるつもりだけど」
【ふーん……】
誤魔化すような小春の言葉を聞いて、虎太郎はなにかを察したようだ。
【男か】
「おっ……!?」
虎太郎の指摘に、小春の声はひっくり返ってしまった。
男――閑の顔が当然、小春の脳裏に浮かぶ。
そう言われたらそうなのだが、だが、『はいそうです』とは口が裂けても言えない。
慌ててスマホに手のひらを添え、極力声を控えながら、必死で否定した。
「なっ……そっ、そんなわけないでしょっ! なに言ってるのよ、バカッ……!」
【まぁ、いいけど】
「いやいや、だから……」
慌てる小春もなんのその、電話の向こうの虎太郎が、あっさりと話題を切り替える。
【実はな、木曜日からそっちに行くんだ】
「えっ?」
突然の発言に、木曜とはいつの木曜で、そっちとはどっちだと、一瞬頭が混乱する。
【だから、東京だよ】
「なっ、なんで?」