誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
【系列ホテルの研修みたいなもんが、そっちであるんだ。二泊三日で、一日は完全にオフだから、会えないかと思ってな。それで連絡した】
「ああ……なるほど。うん、わかった」
急な話ではあるが、身内のように大事に思っている虎太郎に会えるのは、やはり嬉しかった。
「じゃあ予定がはっきりしたらまた連絡くれる?」
【了解。じゃ、おやすみ。遅くに悪かったな】
「ううん……連絡ありがとう。おやすみなさい」
電話を切って、ふうっと息を吐く。
椅子の背もたれに背中をおしつけて、高い天井を見あげた。
(お兄ちゃん、しっかり者だから……相談に乗ってくれるかな……でも、閑さんのこと話せるわけないし……って、相談なんかして、どうしたいの。私……)
また泣きそうになって、手の甲でまぶたを覆う。
自分がやらなければいけないことは、閑への謝罪。そして、ルームシェアは解消して、とりあえずでも中本の二階にまた戻ることだ。
(お店は年内で閉めちゃうけど、すぐに住めなくなるってことはないだろうし……おじさんだって、引っ越しの準備もあるし、一か月くらいなら、なんとかなるよね)
中本の大将は、閑とのルームシェアをやたら喜んでいたので、戻ってきましたと告げるのはつらくもあるが、仕方ない。これも自分がふがいないせいだ。自分の責任だ。