誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 世間一般では、無条件に愛してくれるはずの母ですら、自分を捨てたのに――。
 いったい誰が、自分をずっと、好きでいてくれるのだろう。とても不可能な、かなわぬ夢だと思ってしまう。

(だけど勝手に思うだけなら、傷つかなくていいんだ……)

 閑のように、自分が勝手に好意を寄せている分には、誰にも迷惑をかけない。

 行動しなければ、誰の感情も揺らさない。

 それが小春の選んだ生き方だった。

「そうか。変なこと聞いて悪かったな」

 虎太郎はふっと表情を緩めて、着ていたライダージャケットを脱いで、隣の椅子の上に置く。

「ううん。大丈夫だよ」

 小春は首を振った。

「でもどうして、急にそんなこと聞いたの?」
「ああ……」

 なにげない小春の問いかけに、虎太郎が、渋い表情になる。
 持っていた箸を置いて、小春の目をじっと見つめた。

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