誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 冗談じゃない。

「ずっと……ずっと無関係だったくせにっ……無視してたのにっ……どうして!?」
「小春」

 虎太郎が静かに小春の名前を呼ぶ。
 落ち着かせようとしているのだろう。それはわかっているが、小春は冷静になれなかった。

「そんなのずるいよ!」

 小春は椅子から立ち上がって、唇をかみしめる。

 指先からどんどん血の気が引いていくのが分かった。小春はこぶしをギュッと握って、目の前の虎太郎を見返した。

 そう、ずるいのだ。

(お母さんはズルい!)

 一方的に捨てたくせに、会いたいと勝手に思っていて、ずるい。
 そんなことを聞かされて、いったいどうしろというのか。

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