誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 その瞬間、小春には、閑の目の色が変わった――ように見えた。

「彼女を泣かせるな……」

 兄たちとはまるで違うという、宝石のような明るい色の瞳に、ギラリとした光がよぎった。

 それはいつもの彼らしくない、あまりにも強いエネルギーで。
 小春はこんな状況にもかかわらず、閑の新たな一面を知ったような気がしたのだった。

 閑は泣いている小春を見て、虎太郎に泣かされていると勘違いしたのだ。

「彼女から離れろ……」

 変わらず落ち着いた声だったが、閑の体が、熱を帯び一回り大きく見えた。

 暴力――。
 理知的な閑に一番不似合いな、そんな気配を感じた。

 彼にそんな真似をさせたくなかった。

(あぶないっ……!)

 その一瞬で、小春は虎太郎を突き飛ばすと、そのままこちらに飛び掛かってくる閑の胸に飛び込み、両腕を背中に回した。

「閑さんっ……!」

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