誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
それを見て、虎太郎が切れ長の目を見開く。
「はぁぁぁ!? 俺よりそっちなのかよー!」
それまでの緊張感が嘘のように、どこか間が抜けた虎太郎の絶叫が、響き渡ったのだった。
「お兄ちゃん、ごめんね……」
「いや、俺こそ悪かったよ。てっきりお前のストーカーかなにかかと……なんつうか、尋常じゃねえ雰囲気だったし」
虎太郎は苦笑しながら小春が淹れたお茶を飲み、ふうっと息を吐いた。
「ストーカーって……そんなわけないじゃない」
小春は苦笑する。
むしろいつまでもウジウジ悩みながらも、思い続けている自分の方が、よっぽどストーカーだと思う。
とりあえず、落ち着こうとテーブル席に移動した三人は、大将が作った総菜をつまみに、ぽちぽちと自己紹介をした。
ちなみに虎太郎、小春は並んで腰を下ろし、小春の前に、閑が座っているが、かなり居心地が悪そうでもある。
「なぜこうなったかというとだね……」
閑は苦虫をかみつぶしたような表情で、お茶を一気に飲み干した後、ため息をついた。