誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

「実は、夕方の予定が急にキャンセルになって、どうしようかと事務所に先に連絡入れたんだ。無理して今日帰らなくても、明日でもいいかなと思ってさ。そうしたら中本の大将が事務所にいたらしくって、意味深なことを言うから少し気になって……」
「えっ、おじさんが?」
「うん……。今日、小春ちゃんのところに、男の客が来るって」
「――俺のことだな」

 虎太郎がなぜかニヤニヤしながら、厚揚げを口の中に放り込む。

「どういう人なのか聞いたら、『小春ちゃんのことを好きな男だよ。まぁ、これ以上は野暮だから、言わねえがな』って……」
「まぁ、俺は小春のことが大好きだよな。あってるよ。わっはっはっ!」
「そうみたいですね……」

 爆笑する虎太郎と、肩を落として落ち込む閑の対比が、なんだかいたたまれない。

 小春は慌てて、閑のフォローに回った。

「神尾さんは正義感が強いから、私がお兄ちゃんに泣かされてると思って、勘違いしたんだよ。お兄ちゃんこそ、過剰に反応しすぎだってば~」

 小春は、軽やかにアハハと笑いながら、隣の虎太郎の腕をバシバシと叩く。

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