誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「とんでもありません」
「挨拶をしたいんだけど、ハジメさんは?」
「社長は今、日本を離れてヨーロッパ滞在中でございます」
「あ、そうなんですね。視察かな?」
「それがファミリー旅行でして」
「へぇ……。あ、思いだした。不二さんのところと雪成さんのところと一緒なんでしょう。兄一家も誘われたって聞きました」
閑はふふっと笑って、それから緊張したように立ち尽くす小春を振り返り、肩を抱き寄せた。
「曽根さん、俺の恋人です。増井小春さん、かわいいでしょ。実家がこっちなんですよ。小春、曽根さんは山邑リゾートの支配人なんだ」
「ひゃっ……あっ、増井小春と申します、よろしくお願いいたします!」
可愛い恋人だと唐突に紹介されて、小春はまた緊張した。生真面目に深々と頭を下げてしまったが、“曽根さん”と呼ばれた支配人は、優しくにっこりと笑って、丁寧にあいさつをしてくれた。
「こちらでお待ちください」
そのままエントランスからカフェスペースに誘導され、あたたかい紅茶のサービスを受ける。
待たされるといっても、ホテルの中はあたたかく、気が付けばすっかりリラックスしてしまった。