誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

「閑さん、山邑リゾートにはよく来られるんですか?」
「いや、俺は来たことない。実は初めて」

 閑はクスッと笑う。
 だが、この山邑リゾートの経営者一族のことを、閑はよく知っているらしい。

「俺の兄たちが、ここの若社長の同級生だったり、後輩だったり、先輩だったりして、まぁ、仲がいいというか……腐れ縁なんだ。で、若社長がコミュニケーション能力の怪物みたいな人でね。俺は主に仕事の面で、結構お世話になってて」
「へぇ……閑さんにコミュニケーション能力の怪物って言われるなんて、すごいですね」

 小春からしたら、閑だって十分達人の域だと思うのだが、それを聞いて閑は、「いいや」と真面目な顔をして首を振った。

「俺なんか全然。あの人なら、たとえ何が起こっても生き残りそうだし、宇宙人相手でも商売しそうだよ」
「宇宙人……?」

 突拍子がないと思いつつも、山邑リゾートの社長は、そのくらいすごいということなのだろう。人間相手でもコミュニケーションが四苦八苦な小春からしたら、とんでもない話だった。

 山邑リゾートの若社長は、どうやらよほどの人物らしい。好奇心から、いつか会ってみたいものだと思っていると、制服姿の男性がやってきて部屋の用意が出来たと、告げる。


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