誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 エントランスに足を一歩踏み入れると、広々としてラグジュアリーな空間が、目の前に広がる。フロアの中心には、大きなソファーセットが三つほど置いてあり、奥にはホテルのフロントのような受付カウンターがあった。そして向かって左手には、エスカレーターが二基設置されている。おそらくエレベーターは上階にあるのだろう。
 メトロからおそらく徒歩五分もかからない立地であるにもかかわらず、マンションの周囲は広々と緑が広がっている。

(とんでもない高級マンションだ!)

 小春は、いつもエプロン姿の自分を恥じているわけではないが、さすがに圧倒されてしまった。

「さ、行こう」

 手を引かれてエスカレーターで上にあがり、エレベーターに乗り換える。
 エスカレーターの目の前にはまたカウンターがあり、スーツ姿の男性が、「おかえりなさいませ」と声を掛けてきた。コンシェルジュが待機しているようだ。

「ただいま」

 閑はそれににっこりと笑うと、エレベーターのボタンを押す。

「俺の部屋は二十二階。基本的に寝に帰るだけなんだけど……夜景がきれいらしい」
「ねっ、寝に帰るだけ!?」

 小春は目をむいた。

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