誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
「まぁね……毎日忙しいし」
気軽な調子で肩をすくめる閑に、弁護士という仕事柄、そういうものかとも思った。
自分がここの住人なら、もっとマンションライフを楽しむと思ったが、逆になにをしていいかわからず、閑とは違った意味で、寝に帰るだけかもしれない。
(でも……ここ、家賃いくらくらいするんだろう……三十万円近くしそうだけど……)
下世話と思うが、そんなことを考えている内に、乗り込んだエレベーターが二十二階に停止する。
「さぁ、我が家へようこそ。って言っても、小春ちゃんも住むようになるんだけどね」
「なっ……なりませんよ、そんなの……!」
ここに来てようやく、一緒に住まないという自己主張が出来た小春だが、肩を抱かれてそのまま部屋に、連れ込まれてしまったのだったが――。
「ええーっ! なんだか思ってたのと、ちがーーーう!!」
閑に渡されたスリッパをはいて、部屋に足を踏み入れて、小春は絶叫した。
一緒にいるのが、憧れの男であり、その憧れの男が住む部屋に一緒に住もうと言われたときの気持ちは、少なくとも吹っ飛んだ。