誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
まるで時が止まっているような美しい景色だ。
「いや、元はひいおじいさんのお妾さんの家だって言ってたかな。本家ではないから、わりと昔から自由に使わせてもらってるんだ。庭が広くて、畳の上に寝ころんでると風が通って、気持ちよくてさ。学生時代は、たまり場になってたよ。あ、いたいた。蒼佑~!」
閑が、庭の中央に集まっている面々に向かって、手を振る。
そこでは二十人ほどの若い男女がシャンパングラスを片手に、芝生の上に寝転がったり座ったりして、歓談しているようだった。
「閑?」
閑の呼びかけに、その輪でも一番目立つ男が気づいて立ち上がり、近付いてきた。
「よく来たな」
「お招きどうも」
「久しぶりだな」
閑ほどではないが、蒼佑の身長も百八十は優に超えている。
長身でたくましく、背筋がすっきりと伸びて美しい。
閑はロールアップのデニムに白いカットソー、赤のスニーカーというカジュアルなスタイルだが、蒼佑と呼ばれた彼は、ブラックのパンツにシャツと、テーラードジャケットという、育ちのよさそうな品のあるコーディネートをしている。
少しくせのある黒髪と、彫りの深い顔だちからして、ハーフかクォーターなのかもしれない。