誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
そう――。
自分たちに限って。小春も閑も、間違いなくそう思っていたはずだ。
気が付けば時計の針は深夜をまわり、槇は姿を消していて、ふたりで『とりあえずゴミをまとめよう』と、ゴミ袋に缶を集めていて。
食器を洗っていて……。
ふと、気が付いたら、隣で、小春が洗ったコップを拭いていた閑の唇が近づき、重なっていた。
驚いたが、一方で、胸がときめき、心臓が止まりそうになった。
腕をつかまれているわけでも、何でもない。
ただ隣の閑が、顔だけを近づけてキスしただけだ。
「……小春ちゃん……」
唇から、耳へと移動する彼の唇と吐息に、小春の全身に甘い痺れが走る。
このキスで、閑を責めることはできない。
自分だって、ゴミを集めながら、ネクタイを外し、ワイシャツのボタンをひとつ外した閑の横顔を、『なんだかいつもと違うみたい……色っぽいな』と見ていたのだ。
あの手首に触れてみたい。
大きな手に、頬を撫でられてみたい。
いつか、背中を撫でてくれたように、全身を撫でてもらいたい――。
そういう目で見ていたのだ。