誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 そんな不埒な気持ちを胸の奥に隠しながら、けれどはっきり、そういう目で、閑を見つめていたのだ。

 誰よりも聡い閑が、そんな自分のよこしまな気持ちに気が付かないはずがない。

 お互い、手にはまだ食器を持ったまま。不自由な状態で、重ねては離れ、また口づけている。

(頭が、ぼうっとする……)

 深夜の事務所はとても静かで、お互いのかすかな息遣いしか耳に入らない。

 しばらくそうやって唇を重ねて、唐突に、カチャリ、と閑が持っていたグラスを手元に置いた。
 それを見て小春も、拭いていた食器を置いていた。

 双方両手が自由になると、自然に、体が近づいていた。

 閑の逞しくて広い背中に手のひらを這わせる。サラサラしたワイシャツの触感に、眩暈がした。
 薄いシャツ越しに感じる閑の体に、鼓動がおさまらない。
 もっと、もっと触れたい。

「ん……っ」

 閑の腕に体を引き寄せられて、深く口づけられた小春は、声をあげた。

 身長差で、キスをするだけでかなり上を向かなければならない。
 髪をまさぐられて、髪留めが床に落ちるが、どうでもよかった。

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