誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 なにしろ冷蔵庫にはビールしか入っていない。
 誇張抜きに、ビールのみだ。

「朝は食べてないみたいだから、昼も夜も外食なのかなぁ……」

 弁護士という職業柄、ずっと事務所にいるわけでもない。仕方ないかもしれないが、体が心配だ。
 せっかく一緒に住むのだから、多少なりとも体によさそうなものを食べさせたい。

 小春は財布をしっかり握りしめて、マンションの部屋を飛び出していた。




 閑が帰宅したのは、夜の九時をすこしばかり回ったころだった。

「えっ、小春ちゃん、帰ってなかったの?」

 リビングに姿を現した閑が、ソファーに座りビジネス雑誌を読んでいる小春を見て、目を見開いた。

「あっ、っていうかすごく部屋がきれいになってる!」

 帰宅早々、驚いてばかりで忙しそうだ。
 小春は苦笑しながら、閑を見あげる。

「はい。それで、見ての通り部屋もきれいになったし、今日を私たちの同居初日にしてもいいかなって」

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