誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 記念日というわけではないが、そう思ってもばちは当たらないのではないか。

 そう思った小春は少し照れながら、それからダイニングテーブルを指さした。

「ちょっとした……お祝いの席を設けました」
「お祝いの席……?」

 閑が小春が指さしたほうに視線を向ける。

「はい。あの、夜ごはん済んでるのなら、明日でもいいんですけど」

 丸い四人掛けテーブルの上には、白いテーブルクロスを敷き、ふたり分の食器を並べている。ビールしかない閑の部屋だが、掃除のさなか、真新しいクロスや、カトラリーのセットを発見したのだ。

「食べてない。っていうか、昼も時間がなくて、カップラーメンだった……」
「よかった……! いや、カップラーメンは、あんまりよくないですけど、食事を用意していて、よかったです。さっそく用意しますね。よかったらその間に着替えていてください」

 小春は少し早口でそう言うと、またキッチンへと向かう。

 今晩のメニューは、あたたかいスープ、マリネ野菜のサラダ、雲丹と魚貝のパスタ、テール肉の赤ワイン煮込み。デザートはアイスクリームを作り、冷やしてある。
 アルコールはさすがに控えることにした。

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