明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
それにこんなに近くに行基さんがいると思うと、緊張で眠れない。


「眠れないのか?」
「いえ、そうではなくて……」

「体が冷えると寝つきが悪くなるそうだ。女は手足の先が冷える生き物だと聞いたことがあるが、お前もそうだな」


行基さんは自分の足で私の足先に触れる。
たしかに彼の足は温かかった。


「俺の足で温めて」
「そ、そんな……」


首を振ったものの、彼は私の足に足をくっつけて挟んでくる。


「ほら、眠るぞ」
「は、はいっ」


彼は私の首の下に腕を差し入れたまま、目を閉じてしまった。

しばらくすると、スース—と規則正しい呼吸が聞こえてきた。
どうやら眠ったようだが、足を離そうとしても許してもらえない。

体を交えなくて済んだことにホッとしつつ、どこかで落胆もしていた。

やはり、愛してはもらえないんだわ……。

彼は『いずれ子をと言われるだろう。そのときでいい』と言っていた。
つまり、子を作るためだけにそうした行為をするということだ。
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