明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
行基さんと向き合ってとった夕食のあと、私も湯を浴び彼の部屋に向かう。


「失礼します」


声をかけてから障子を開けると、彼はなにやら本を読んでいた。


「あやか。こっちにおいで」
「はい」


まだ彼の近くに行くのは緊張する。


「本がお好きなんですか?」
「時間を潰すにはいい。でもあやが来たから終わりだ」


彼は本を閉じた。


「私のことはお構いなく。続けてください」
「いや、いい。今日は少し疲れた」


彼はそうつぶやくと、隣まで歩み寄った私の腕を引いて座らせる。
と思ったら、なぜか私の膝に頭を乗せて寝そべってしまう。


「行基さん?」
「足が痛ければ伸ばして」


そんなことを気にしているわけではない。
なにをしているの?

思惑がわからず体を固まらせていると、彼は下から私を見つめ口角を上げる。


「夫を癒すのは妻の役割だ」
「こ、こんなことで癒されるんですか?」
「あぁ。もちろんだ」
「それなら、頑張りますっ!」
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