明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
鼻息荒く返事をすると、彼は肩を震わせている。


「頑張るって、どうやって?」
「あ……」


たしかに私は座っているだけだ。


「あはは」


彼の笑顔を見ると私まで元気になれる。

こんなことをするのは緊張以外の何物でもないけれど、彼が疲れを癒せるのなら、そして笑顔を見せてくれるなら、なんてことはない。

それから行基さんはしばらくそのまま目を閉じていた。

眠ってしまったのかな?と思ったけれど、少しすると起き上がった。


「足、痺れてないか?」
「大丈夫……じゃないみたいです」


立ち上がろうとしたのに、ピリピリと微弱な電流が足先に走る。


「ちょっと触るぞ」
「えっ、やめ……あっ」


昨日と同じように抱き上げられ、隣の部屋に連れていかれる。


「だから、足を伸ばせと言っただろ」
「はい。これで学習しました」


クスリと笑みをこぼした行基さんは、なぜかまた私を抱き寄せてくるので、鼓動が速まるのを止められない。
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