明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
生まれや生い立ちを理由に、“できない”と決めるのは嫌いだ。
そう自分を奮い立たせてみたものの、誰にも相談できない状況に本当は心が折れそうだった。
今日は冷える。
肌を突き刺すような空気がのせいで体が冷えてきてしまったけれど、障子を閉めることも忘れ、しばらく青い空を眺めていた。
「よし」
それでもしばらくすると元気が出てきた。
今さら突然お嬢さまになれるわけじゃない。
行基さんだって、私がそうした教育を受けていないと知っていて妻にしてくれたんだ。
できることをしよう。
女中の仕事はなかなか手伝わせてはもらえないけれど、行基さんの部屋の掃除だけはどうしてもと貞にお願いして許してもらったので、私は早速彼の部屋に向かった。
隅々まで拭き掃除をしていると、昼前になり、一ノ瀬さんが尋ねてきた。
「あやさん、こんにちは。なんですか、その恰好」
「あっ、すみません。掃除を……」
「掃除? そんなものは女中にやらせておけばいいじゃないですか」
そう自分を奮い立たせてみたものの、誰にも相談できない状況に本当は心が折れそうだった。
今日は冷える。
肌を突き刺すような空気がのせいで体が冷えてきてしまったけれど、障子を閉めることも忘れ、しばらく青い空を眺めていた。
「よし」
それでもしばらくすると元気が出てきた。
今さら突然お嬢さまになれるわけじゃない。
行基さんだって、私がそうした教育を受けていないと知っていて妻にしてくれたんだ。
できることをしよう。
女中の仕事はなかなか手伝わせてはもらえないけれど、行基さんの部屋の掃除だけはどうしてもと貞にお願いして許してもらったので、私は早速彼の部屋に向かった。
隅々まで拭き掃除をしていると、昼前になり、一ノ瀬さんが尋ねてきた。
「あやさん、こんにちは。なんですか、その恰好」
「あっ、すみません。掃除を……」
「掃除? そんなものは女中にやらせておけばいいじゃないですか」